ビールと発泡酒の違いは?果実入りのクラフトビールでやさしく解説

クラフトビールの缶を見ると、同じ醸造所の商品でも「ビール」と書かれたものと「発泡酒」と書かれたものがあります。

「発泡酒はビールより薄い?」「果実を入れると発泡酒になる?」と迷うかもしれません。

結論から言うと、違いは味の濃さや品質の順位ではありません。使った原料と麦芽の割合などによって分けられた、酒税法上の「品目」です。

この記事では、国税庁の説明をもとに、両者の違いと、品目だけで味を決めつけない選び方を整理します。

目次

発泡酒と書いてあると、味が薄い?

発泡酒という言葉から、価格を抑えたビール風のお酒を思い浮かべる方もいると思います。

ただ、クラフトビールでは、醸造家が果実やハーブなどを使って香りや味を組み立てた結果、品目が発泡酒になることがあります。

つまり「発泡酒」は製法や原料による分類であって、「味が薄い」「ビールより劣る」という評価ではありません。

ビールと表示できる条件

国税庁は、ビールと発泡酒を「使用原料と麦芽の使用割合」によって区分しています。

基本のビールは、麦芽、ホップ、水を発酵させたものです。麦や米、とうもろこしなどに加え、果実、コリアンダー、香辛料、ハーブなどを使う場合でも、定められた条件に収まればビールと表示できます。

要点を2つに絞ると、次のとおりです。

  1. 麦芽の重量が、ホップと水を除いた原料の総重量の50%以上であること
  2. 果実やコリアンダーなどの香味料は、定められた種類で、その合計重量が麦芽重量の5%以下であること

正確にはさらに細かい条件がありますが、果実やハーブの使用そのものは、ビールと表示できない理由にはなりません。この範囲は2018年4月から広がりました。

改正前は、ビールに使える副原料の範囲が現在より狭く、地域の果実やハーブを生かしたお酒が発泡酒に分類されることがありました。2018年の改正では、地域の特産品を使ったビール開発を後押しする目的もあり、果実や一定の香味料がビールの原料に加えられました。

ただし、使える素材の範囲が広がったことと、量に制限がないことは別です。果実やハーブなどは、合計で麦芽重量の5%以下という条件があります。

制度の正確な文言は、国税庁「ビール・発泡酒に関するもの」で確認できます。

どのような場合に発泡酒になるのか

麦芽や麦、ホップを使った発泡性のお酒でも、ビールの条件に収まらなければ発泡酒になります。

クラフトビールで考えると、代表的な理由は、麦芽の使用割合、使った副原料の種類、果実やハーブなどの使用量です。

ただし、原料名だけを見て、「この素材が入っているから発泡酒」と決めることはできません。分類には使用量や配合が関係しますが、通常、そのすべては商品ページに公開されていないからです。

個別商品の品目は、製造者が缶やボトルに記載した表示を確認するのが確実です。

果実入りでも、ビールと発泡酒の両方がある

ひみつビールの2本を比べると、「果実入り=発泡酒」ではないことがわかります。

お伊勢ちゃんは「ビール」

お伊勢ちゃんは、柚子とコリアンダーを使ったホワイトビールです。缶の品目は「ビール」、アルコール分は5.5%。苦みは控えめで、柚子と酵母由来のフルーティーな風味を楽しむタイプです。

KAWAUSOエンヤーは「発泡酒」

KAWAUSOエンヤーは、桃とタイムを使ったファームハウスエールです。缶の品目は「発泡酒(麦芽使用率50%以上)」、アルコール分は同じ5.5%。苦みは控えめで、冷たいうちは軽やかに、温度が上がると桃の風味がふくらむタイプです。

どちらも果実やスパイスを生かした、アルコール分5.5%の一本です。それでも法律上の品目は異なります。

ここで缶の表示をもう一度見ると、KAWAUSOエンヤーは「麦芽使用率50%以上」と書かれています。つまり、先ほどの条件のうち、麦芽の割合のほうは満たしています。分かれ目は麦芽の量ではなく、副原料の側にあることが読み取れます。

ただし、それが香味料の種類によるものか、量によるものかまでは、公開された原料名だけでは分かりません。個別の商品については、缶の品目表示を正として見てください。

「品目」と「ビアスタイル」は別の情報

商品ページを読むと、「品目:発泡酒」と「スタイル:ファームハウスエール」のように、2種類の名前が一緒に出てくることがあります。

「ビール」と「発泡酒」は、日本の酒税法による品目です。一方、ホワイトビール、セゾン、ペールエール、IPAなどは、原料や製法、香り、色、味わいの方向を知るためのビアスタイル名です。

たとえば、お伊勢ちゃんは品目がビールで、スタイルはホワイトビール。KAWAUSOエンヤーは品目が発泡酒で、スタイルはファームハウスエールです。

缶の表示を読むときは、「法律上は何に分類されるか」と「どんな味の方向を目指したお酒か」を分けて見ると、情報が整理しやすくなります。飲みたい味に近づくためには、品目よりスタイルのほうが直接的な手がかりになります。

もっとも、スタイル名も味を一つに決める答えではありません。同じセゾンでも、使う酵母やホップ、副原料によって香りや苦みは変わります。スタイル名で大きな方向をつかみ、その後に各商品の説明を読むのが実用的です。

買うときは「品目」より先に3つ見る

飲みたい味を選ぶなら、ビールか発泡酒かより先に、次の3つを見ます。

1. スタイル

ホワイトビール、セゾン、IPA、黒ビールなど、スタイルは味の方向を知る手がかりです。用語が難しい場合は、クラフトビール初心者向けの選び方で基本から確認できます。

2. 原料と味わいの言葉

果実やスパイスの名前に加え、「苦み控えめ」「香ばしい」「コクのある」などの説明を読みます。副原料の役割は、クラフトビールに米や果物を使う理由でも解説しています。

味わいの段階評価がある店では、同じ尺度の中で商品同士を比べると選びやすくなります。「発泡酒」の文字より、苦みや甘みの案内のほうが、飲む前のイメージにつながります。

3. アルコール分

同じ発泡酒でも度数に幅があります。品目だけではアルコール感はわからないため、度数も一緒に確認します。

この3つを見たうえで品目を確認すると、「発泡酒だから避ける」のではなく、飲みたい一本を中身から選べます。

まとめ

ビールと発泡酒は、原料、麦芽の割合、副原料の種類と量などによって分かれる、酒税法上の品目です。果実やハーブ入りでも、条件を満たせばビールと表示できます。

品目だけで味を決めず、スタイル、原料、味わいの説明、アルコール分を順番に見てみてください。先入観から離れると、クラフトビールの選択肢はもう少し広がります。

※20歳未満の方への酒類販売はいたしません。

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