クラフトビールの商品ページを見ていると、米、ライ麦、八朔、カモミールなど、ビールではあまり見慣れない素材が出てきます。
「米を入れたら日本酒のような味になるの?」
「果物を使ったビールは甘いの?」
名前だけを見ると、完成した味をそのまま想像してしまいがちです。でも、素材は必ずしも、その味を強く出すためだけに使われるわけではありません。
飲み口を軽くしたり、穀物のコクを加えたり、いくつかの香りを重ねたり。一本の中でどんな役割を持たせるかによって、仕上がりは変わります。
この記事では、米、ライ麦、果物とハーブを例に、クラフトビールの商品説明から素材の役割を読む方法を紹介します。
米や果物は、何のためにビールへ加えるの?
ビールの基本になるのは、水、麦芽、ホップ、酵母です。
そこに米や果物、ハーブ、スパイスなどを加えてつくるビールもあります。こうした素材は、商品説明などで「副原料」と呼ばれることがあります。
副原料という言葉を覚えることよりも、まずは「その素材を何のために使っているか」を見る方が、味を想像しやすくなります。
たとえば、素材の役割には次のような違いがあります。
- 飲み口を軽くする
- 穀物のコクや香ばしさを加える
- 果物やハーブの香りを重ねる
- 甘みや苦みの印象を整える
同じ米を使ったビールでも、すべてが同じ味になるわけではありません。素材名だけで決めず、つくり手がその素材にどんな役割を持たせたのかまで読むのがポイントです。
米は、味を目立たせるより飲み口を整えることがある
米を使ったビールと聞くと、米の甘みや日本酒のような香りを想像するかもしれません。
実際には、米を使ってビールの飲み口を軽くし、ホップの香りを感じやすくすることもあります。
ひみつビールのネルソンブロンドは、自家栽培のコシヒカリを使ったブロンドエールです。
主役になる香りは、ニュージーランド産ホップ「ネルソンソーヴィン」の白葡萄を思わせる香り。コシヒカリは、米の味を前に出すのではなく、飲み口を軽くしてホップの特徴を感じやすくするために使われています。
商品ページに米と書かれていても、「米の味がするビール」と決めつけず、その米が何を支えているのかを見ると、狙いが分かりやすくなります。
ライ麦は、穀物のコクや香ばしさにつながる
ライ麦は、パンやウイスキーにも使われる穀物です。ビールでは、ライ麦を使うスタイルを「ロッゲンビア」と呼びます。
ひみつビールのムササビロッゲンは、自分たちで育てたライ麦を使っています。
ライ麦は背丈ほどまで育て、収穫と脱穀も毎年すべて手作業。その年の出来に合わせて、仕込みも微調整しています。
このビールで感じやすいのは、ライ麦パンを思わせる香ばしさや、穀物のコクです。果物やホップの華やかな香りとは違い、穀物の風味をゆっくり味わう方向です。
ライ麦という見慣れない言葉が出てきたら、難しいスタイル名より先に、「パンのような香ばしさ」「穀物のコク」といった説明を探すと、飲む前のイメージを持ちやすくなります。
果物とハーブは、単独ではなく香りの組み合わせを見る
果物を使ったビールが、必ず甘いとは限りません。果汁の甘みを主役にするものもあれば、皮のほろ苦さや香りだけを生かすものもあります。
ハーブも同じです。ひとつの香りを強く出す場合もあれば、複数の素材を重ねて全体の香りをつくる場合もあります。
ひみつビールのGather&Giveには、八朔、夏みかん、柚子、ローズマリー、カモミール、タイムの6種類が使われています。どれも、ひみつビールが自分たちで育てた素材です。
ここで見るべきなのは、六つの味が別々に強く出るかどうかではありません。柑橘とハーブが重なり、ひとつの香りとしてまとまるように仕込まれています。
果物やハーブの名前が多い商品では、「何種類入っているか」だけでなく、「どの香りが入口で、飲み終わりに何が残るのか」まで読むと選びやすくなります。
商品ページでは、素材名の次に3つを見る
米や果物を使ったクラフトビールを選ぶときは、商品ページで次の3つを確認してみてください。
1. 素材を使った目的
飲み口を軽くするためなのか、コクを加えるためなのか、香りを重ねるためなのか。
素材名と目的を一緒に見ると、「入っているものの一覧」から「味をつくる理由」へ読み方が変わります。
2. 甘み・苦み・アルコール感
果物が入っていても、甘いとは限りません。反対に、ライ麦や黒い麦芽を使っていても、苦みが強いとは限りません。
きたくらふとの商品ページでは、香り、甘み、苦み、アルコール感を3段階で表示しています。素材の説明と一緒に見ると、思い込みを減らせます。
3. つくり手が工夫した点
同じ素材でも、使う量、加工の仕方、加えるタイミングで役割は変わります。
専門的な製法をすべて覚える必要はありません。「なぜこの素材を選んだのか」が書かれていれば、そこが一本の個性をつかむ手がかりです。
まとめ
クラフトビールに使われる米、ライ麦、果物やハーブには、それぞれ役割があります。
今回紹介した3本では、米は飲み口を整え、ライ麦は穀物のコクや香ばしさにつながり、果物とハーブは香りの組み合わせをつくっています。
ただし、同じ素材を使えば同じ味になるわけではありません。
商品ページでは、素材名だけでなく、使った目的、甘みや苦み、つくり手の工夫まで見る。そこまで分かると、見慣れない材料が書かれたビールも選びやすくなります。
