クラフトビールの商品ページで「ホップをたっぷり使用」「ドライホップ」と書かれていると、かなり苦いビールを想像するかもしれません。
ホップがビールの苦みに関わるのは事実です。ただし、ホップには香りをつくる役割もあります。
同じようにホップを使ったビールでも、甘い柑橘の香りが目立つものもあれば、果皮のほろ苦さと重なるものもあります。使った量だけを見て、飲んだときの苦みを決めることはできません。
この記事では、ホップがつくる香りと苦みを分けて考え、商品ページのどこを見れば自分に合う一本を選びやすいのかを紹介します。
ホップには「香り」と「苦み」の両方がある
ホップは、ビールに使われる植物です。
ホップの中には、苦みに関わる成分と、香りに関わる成分が含まれています。そのため、ホップは単なる「苦みの材料」ではありません。
品種によって、柑橘、花、白葡萄、南国の果物などを思わせる香りが出ることもあります。
商品ページに「グレープフルーツのような香り」と書かれていても、必ずグレープフルーツを使っているとは限りません。ホップから、果物を思わせる香りを引き出している場合があります。
一方で、実際に柚子や八朔などの果実を使い、ホップの香りや苦みと組み合わせるビールもあります。
「何のように香るか」と「実際に何を使っているか」は、分けて読む必要があります。
ホップの量だけでは、苦みの印象は決まらない
ホップの苦みに関わる成分は、ビールをつくる工程で加熱されることで、ビールらしい苦みに変わります。
一方、香りを生かすため、仕込みの後半や発酵中・発酵後にホップを加える方法もあります。「ドライホップ」は、主に香りを加えるために使われる方法です。
ただし、「ドライホップなら苦くない」「ホップを後から加えれば香りだけになる」と決めつけることはできません。ホップの品種、使う量やタイミング、麦芽の甘み、果実など、全体の組み合わせで飲んだときの印象は変わります。
難しい製法をすべて覚える必要はありません。商品ページでは、ホップの量だけでなく、香り、苦み、甘み、アルコール感を一緒に見る方が実用的です。
商品ページでは3つを分けて見る
ホップを使ったクラフトビールを選ぶときは、次の3つを順に確認してみてください。
1. 香りの説明
「グレープフルーツのような」「白葡萄を思わせる」などの表現から、香りの方向を確認します。
ここで使われる果物の名前は、原材料ではなく、香りを例えた言葉の場合があります。
2. 苦みの目安
香りが強いことと、苦みが強いことは同じではありません。
きたくらふとの商品ページでは、香り、甘み、苦み、アルコール感を3段階で表示しています。香りが★2でも苦みは★1、というビールもあります。
3. 原材料とアルコール度数
実際に果実を使っているのか、ホップの香りだけで果物のように感じるのかを確認します。
アルコール度数も見ておくと、軽い印象なのか、飲みごたえのある設計なのかを想像しやすくなります。
らっこにひきは、ホップの甘い香りが主役
ひみつビールのらっこにひきは、3種類のホップをたっぷり使ったダブルドライホップビールです。
グレープフルーツを思わせる柑橘の香りに加え、マンゴー、ココナッツ、パイナップルのような甘い香りを引き出しています。
ここで挙がる果物を、実際に材料として使っているわけではありません。商品ページにも、3種類のホップを大量に使ってこの香りを引き出している、と書かれています。前半で触れた「果物の名前が、香りのたとえとして使われている」例がこれにあたります。
味わい評価は、香りが★2、甘みが★3、苦みが★1、アルコール感が★1です。
ホップを多く使っていても、強い苦みを前に出すのではなく、果物を思わせる香りを中心に組み立てた例です。
「ホップの香りは試してみたいけれど、苦みは控えめな方がいい」という場合は、香りと苦みの評価を分けて見ると選びやすくなります。
シーマくんは、八朔とホップのほろ苦さが重なる
ひみつビールのシトラス怪獣シーマくんは、自家栽培の八朔を皮も果汁も使って仕込んだIPAです。
こちらは、ホップだけで柑橘のように香らせたビールではありません。実際に使った八朔の爽やかな香りと、皮のほろ苦さに、ホップの苦みが重なっています。
味わい評価は、香りが★2、甘みが★1、苦みが★2、アルコール感が★2。アルコール度数は8%です。
らっこにひきと同じように柑橘を連想させますが、苦みと飲みごたえは一段しっかりしています。
果実の香りだけでなく、果皮のほろ苦さやIPAらしい飲みごたえまで楽しみたい場合に、違いが分かりやすい一本です。
同じ「柑橘系」でも、見る場所は違う
らっこにひきとシーマくんは、どちらも柑橘を思わせるビールです。
ただし、香りのつくり方と、苦みの強さは違います。
- らっこにひき:ホップから引き出した甘い柑橘香。苦み★1
- シーマくん:八朔の皮と果汁に、ホップの苦みが重なる。苦み★2
「柑橘系」「ホップをたっぷり」といった一つの言葉だけでは、飲んだときの印象までは決まりません。
香りの説明、苦みの目安、原材料、アルコール度数を分けて見る。そうすると、専門的なスタイル名を覚えていなくても、自分が求める方向を選びやすくなります。
苦みを避けるための商品ページの見方は、「ビールの苦いのが苦手」でも大丈夫で詳しく紹介しています。
果物や米など、ホップ以外の素材の役割を知りたい方は、クラフトビールに米や果物を使うのはなぜ?もあわせてご覧ください。
まとめ
ホップは、ビールの香りと苦みの両方に関わる素材です。
ホップを多く使っているからといって、飲んだときに必ず強い苦みを感じるとは限りません。香りを生かす使い方もあり、麦芽の甘みや果実との組み合わせでも印象は変わります。
商品ページでは、ホップの量だけで判断せず、次の4つを確認してみてください。
- どのような香りと書かれているか
- 苦みの目安はどれくらいか
- 実際に果実を使っているか
- アルコール度数はどれくらいか
この4つを分けて見ると、「ホップ=苦い」という一つのイメージだけで選ばずに済みます。
※20歳未満の方への酒類販売はいたしません。
