クラフトビールをグラスへ移すと、缶のデザインだけを見ていたときには分からなかった色や泡が現れます。
同じオレンジ系のビールでも、濁りのないものもあれば、ほんのり濁って見えるものもあります。どちらかが正しいわけではありません。透け方は一本ずつ違います。
この記事では、濁りと無濾過の関係、泡の役割、グラスの手入れを公式情報に沿って整理します。きたくらふとの2本を例に、見た目から今日の一本を選ぶ楽しみ方も紹介します。
同じオレンジ色でも、澄んだものと濁ったものがある
きたくらふとで販売している2本を、商品ページのグラス写真で比べてみます。
マブダチSAISONの商品ページにある色の表現は、「澄んだオレンジ色」。濁りがなく、透明感のある色です。燻製唐辛子のチポトレとライムを使ったセゾンです。
シトラス怪獣シーマくんは、「オレンジがかった明るい橙色。ほんのりとした白い濁りに、果実の存在感がにじむ色合いです」と案内しています。ブルワリーの敷地内で育てた八朔を使ったIPA(ホップを多く使う、コクのあるスタイル)で、商品ページの写真では液体全体にやわらかな濁りがあります。
どちらもオレンジ系ですが、マブダチSAISONには濁りがなく、シーマくんにはほんのりとした濁りがあります。それぞれの商品写真を並べると、見え方の違いを確認できます。
中間の見え方を持つ例もあります。お伊勢ちゃんは、商品ページで「明るいオレンジ色に、ほんのりとした濁り」と表現しているホワイトビールです。透明か白濁かの二択ではなく、一本ごとに透け方が違います。
黒ビールを含めた色そのものの違いは、黒ビールは苦いだけじゃない?甘い黒と濃い黒の選び方で紹介しています。今回は色の濃淡ではなく、液体が澄んで見えるか、濁って見えるかに注目します。
無濾過だから濁る、とは限らない
ビールは通常、発酵・熟成のあとに酵母や原材料由来の成分をろ過します。液色を透き通らせるためです。アサヒビールは、2026年3月23日の商品ニュースリリース「濁りが特長のビール『アサヒ 贅濁』を数量限定発売」で、その商品はろ過を行わないことで濁りを実現したと説明しています。
無濾過と濁りが結び付く例はあります。しかし、無濾過と書かれたビールが、すべて同じように濁って見えるわけではありません。
マブダチSAISON、シーマくん、お伊勢ちゃん、どろんの缶には、次の注意書きがあります。
無濾過のため酵母や原材料由来の成分が沈澱する場合がありますが、品質には変わりありません。
ここで書かれている「沈澱」は、成分が底に沈むことです。液体の中に成分が分散して見える「濁り」とは別の状態です。
手元のグラスでは、沈澱は底の近くに成分が集まった状態として現れます。一方の濁りは、液体全体に細かな成分が分散しているように見える状態です。
そのため、缶に無濾過の注意書きがあっても、外観が澄んで見えることはあります。同じように、ほんのり濁って見える一本でも、その濁りの程度を注意書きだけから判断することはできません。缶の表示は品質上の案内として読み、実際の外観は商品写真やグラスの中で確かめる。この二つを分けて考えると、表示と見た目の関係が整理しやすくなります。
実際に、同じ注意書きがあるマブダチSAISONは「澄んだオレンジ色」です。どろんも、商品ページで「グラスの裏のラベルが透けて見えるほど、クリアな色合い」と案内しています。
つまり、無濾過という表示だけでは、グラスの中がどれほど濁って見えるかまでは分かりません。
泡は何をしているのか
透明度と並んで、グラスの見た目を大きく変えるのが泡です。
キリンのビール用語事典では、泡には、ビールが空気に触れて味が落ちるのを防ぎ、炭酸ガスを逃しにくくする「フタ」の役割があると説明しています。
泡は飾りではありません。
きたくらふとの商品ページで泡を具体的に書いている例が、どろんです。
クリーミーな白い泡がしっかりと立ち上がります。
どろんは、明るい琥珀色の液体に白い泡が重なる一本です。液色と泡を別々に見る例になります。
泡が整わないときは、グラスを洗い直す
同じビールでも、使うグラスの状態によって泡の見え方が変わることがあります。
サッポロビールのグラス洗浄に関する案内では、クリーミーで長持ちする泡には、きれいなグラスが必要だとしています。油分の付着を避けるためにグラス専用のスポンジを使い、洗剤で洗った後はよくすすぎ、伏せて自然乾燥させる方法が案内されています。
キリンのグラスの手入れに関する記事も、食器用のスポンジには料理の油分や匂いが付着している可能性があるため、専用のスポンジを勧めています。ふきんやナプキンで拭かずに、水を切って自然乾燥させる方法も紹介しています。
泡がすぐに消える、グラスの内側に細かな気泡が付き続けるといったときは、グラスを洗い直してみてください。
家庭でできる準備は複雑ではありません。
- できればビールグラス専用のスポンジを使う
- 洗剤が残らないように流水でよくすすぐ
- 水を切って自然乾燥させる
- 乾いたグラスにビールを移す
透明度を見比べるなら、同じ形の清潔なグラスを使ってください。注ぎ方によって泡の量は変わるため、2本を比べるときは注ぎ方もそろえてください。
見た目は、好みの軸になる
見た目は、クラフトビールを選ぶ立派な手がかりです。澄んだオレンジ色が気になる日もあれば、ほんのり濁った明るい色に目が留まる日もあります。
グラスに現れる外観も、ラベルや香りと同じように、その一本を選ぶ理由になります。
商品ページを開いたら、説明文より先にグラス写真を一度見てください。気になった外観を入口にすれば、専門用語を覚えていなくても一本を絞れます。
今回の2本では、マブダチSAISONは澄んだオレンジ色、シーマくんは液体全体がほんのり濁った橙色です。色名だけならどちらもオレンジ系ですが、グラス写真で見ると外観は同じではありません。「今日は澄んだ一杯が気になる」「濁りのある見た目に引かれる」——自分の目に留まった方を選んでください。
店頭なら、並んだビールを見ながら店員に相談できます。通販では手に取って見比べられないため、きたくらふとは商品ページに缶だけでなくグラス写真も載せています。味の説明を読み込む前に外観で候補を絞り、その後に香りや原材料の説明を読む。この順番なら、知らないスタイル名が並んでいても選び始められます。
自宅で2本を比べるときも、特別な道具は必要ありません。同じ形のグラスへ同じくらいの量を移し、明るい場所で横から眺めるだけです。液色、濁り、泡の境目のうち、最初に気になったところを覚えておくと、次にビールを選ぶときの自分なりの基準になります。
保存でできる濁りは、意味が違う
無濾過ビールがもともと持つ濁りとは別に、保存状態によって濁りが生じる場合もあります。キリンの樽詰生ビールに関するQ&Aでは、0℃付近で長く保存したり凍らせたりすると、成分が変化して寒冷混濁や凍結混濁が起こると説明しています。
もともとの濁りと、保存中に生じた濁りは意味が異なります。銘柄ごとの保存表示と凍結を避ける理由は、クラフトビールの保存方法と飲む温度で確認してください。
まとめ
クラフトビールには、同じオレンジ系でも、濁りのないものと、ほんのり濁って見えるものがあります。
マブダチSAISONは澄んだオレンジ色。シトラス怪獣シーマくんは、明るい橙色にほんのりとした濁りがあります。どちらも無濾過ですが、見え方は同じではありません。
泡には、ビールが空気に触れるのを防ぎ、炭酸ガスを逃しにくくする役割があります。泡をきれいに保つには、油分のない清潔なグラスも大切です。
次に商品ページを開いたら、3枚目のグラス写真まで進めてください。2本の写真を並べ、先に目が留まった方から商品説明を読む。それが今回の選び方です。
※各銘柄の入荷数が少ないため、売り切れの際はご容赦ください。再入荷できない銘柄もあります。
※20歳未満の方への酒類販売はいたしません。
